廃園

一次二次創作を含む世迷言です。何でも許せる方のみどうぞ。あくまで個人的な発言につき、転載、引用はお断り致します。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【Sweetest drop】

───温めたカップの熱が指に心地良い。 煎れたばかりの珈琲をゆっくりとマグに注ぎながら、ピッコロはふと去年の事を思い出した。 ++ Sweetest drop ++ 丁度一年前の今日、色鮮やかな小包を一杯に詰めた紙袋を両手に下げて帰宅した悟飯は、ピッコロがそれは何…

【I'm Glad There Is You】

─────ねぇ、ピッコロさん。『神様』って信じますか? 夕食後の一時。芯までほっこりと煮込まれた温かいポトフをお腹一杯に詰め込んで、何とも倖せな気持ちでコーヒーを啜りながら、僕はふと、前から聞きたかった事を思い出していた。 ピッコロさんは未だ洗い…

【キミの居場所】

TQ

ふくはうち おにはそと 家族の誰もが健康で幸せでありますように 厄を払い 福を呼び込もう けれど 暖かい家を追われた鬼の子は 冷たい冬風に身を震わせ 何処かで泣いてやしないだろうか ——二月三日。 地方によっていろいろ風習は違えども、大豆を蒔いて厄を…

【誰が為に豆を撒く】

「はい、ピッコロさん。今日は『節分』なんだそうですよ」 「………節分?」 「民俗学の教授に教えてもらったんですよ。何でも今日は『鬼は外、福は内』って呪文を唱えながら外に炒った豆を投げると………」 「鬼は外?」 「悪い鬼は家の中に入って来れなくなって…

【未来のこども】

※拍手御礼 シェルターの扉を開けば、網膜に残像を呼び起こす程の強い光が視界を灼いたどこまでも高く透き通る蒼天。思い出したかのように大地に広がりゆく緑もはや少年とは呼べない精悍な容貌の青年は、その五指を開き、黙って虚空に掲げるすり抜ける風が、…

【Giurare】

OP

「簡単だろ! 野望捨てるくらい!」 血を失い過ぎたのだろうか。全ての音が呆と、何かぶ厚い壁を通したかのようにはっきりしない。自分と大差ないように見えた金髪男の上げた掠れた叫び声が、何故か幼子が泣き叫んでいるかのように聞こえた気がして、こんな…

【きみのこえ】

TQ

【1】 「でっしょ──!? わざわざ呼んどいて『じゃあそれで』ってあんまりじゃないっすかあ!」「でも、早く帰って来れたんなら良かったじゃないですか」「そりゃそーですけど! でもそんなら明日の有給取らなくてもよかったよなーって」「どこかに行く予定…

【ラブレター】

TQ

某ボカロ歌パロ。 【ココロ×キセキ】 ゼロとイチで構成される仮想空間の中を漂いながら、『彼』──は自らの存在を確定し、その存在意義に理由を与えるコマンドコールに気づいた。 コンマ一秒も掛からずにメモリー素子が仮想シナプスを延ばし、結び付け、ケー…