廃園

一次二次創作を含む世迷言です。何でも許せる方のみどうぞ。あくまで個人的な発言につき、転載、引用はお断り致します。

【SSS−03】

[chapter:■009:おひるごはん■] 休日の晴れた日には 庭の木陰にシートを引いて 大きなバスケット一杯に ぎゅうぎゅうに何を詰めようか? サンドイッチにコールスロー フライドチキンに手作りのピクルスだって 昨日から仕込んだバゲットも そうそう 美味しい…

【Blessing】

「──祝福してくれないか? ピッコロ」「……………祝福?」「───ああ。神でもあり魔王でもあるお前に祝福してもらえたなら、きっとこの子は世界で一番倖せになれる」 五月晴れの午後、神殿が位置する上空独特の真直ぐ通る風に靡く髪を押さえながら、静かな確信に…

【Better leave it unsaid, but】

「………………………あ−ブルマ………」「何?」「………………悪かったな、わざわざ……………済まなかった」「………ねぇピッコロ?」「………………?」「アタシはね、迷惑だとも思ってないし、あんたがアタシを頼ってくれた事を嬉しいと思ってるわ。………今みたいに、あんたがアタシに対し…

【僕と あなたと あなたと 僕と】

世界が秋への衣替えを始めるこの季節、騒がしき人界では上期下期の切替の真っ最中で。 悟飯の勤める大学では、世間一般で云う処の売上の締めだの商品の棚卸だのといった雑事とは無関係でいられるかと思ったが、やっぱり其処はそれ庶務の方から備品の在庫やら…

【SSS-01】

[chapter:■001:晴れた日に■] 晴れた日には、何をしようか? カーテン越しの日射しに眸を伏せながら、もう少しだけ、朝寝坊を決め込むのも気持ちいい。 遅い朝御飯をバスケットに詰め込んで、庭の木陰でゆっくり頬張るのも悪くない。 ショッピング?映画?ド…

【indulge】

「デートしましょう」 二週間ぶりの休日だった。 スタッフが次々とインフルエンザで倒れる中での研究は当然ながら人手不足で、此処暫くは研究室にこもりっきりだった。たまに帰るのは着替えを取りに行く程度の時間で、それも真夜中、起こさないよう眠る恋人…

【朝の風景】

カーテンの隙間から差し込む朝日が、閉じた瞼越しに沈んだ意識をゆっくりとノックした。 浮かび上がる意識より早く、腕が肩口に掛かる重みを確認し、毛布を引き寄せ抱き締める。 ─────────その『至福』 寝起きの悪い自分と違い、普段夜明けと共に起き出す彼…

【透きとおる愛を、あなたに】

「教授も孫先生も休憩になさいませんか? 朝からずっと温室に籠りっぱなしですよ。冷たいものでもお煎れしますからどうぞ」「ミス、マリア」「やぁ、それはありがたいね。そっちの方はどうだい? 孫君」「あとはこの苗の成長記録を写せば一区切りといった所…

【きみのいるふゆ いないふゆ】

そらからしろいふわふわがふってくる ふわふわして、つめたくて、みてるとなんでかむねがいたくなるきがする 「ゆき」がふってきたら「ふゆ」なんだって おれはみるのはさんかいめだ うまれてからさんかい、「ふゆ」になった ……あいつはなんかいめかな 「こ…

【BEANS attack】

鬼は内、福も内。 だって我が家においては大魔王様が倖せをくれるから。 ++ BEANS attack ++ 「おにはーうちー!」 開け放った窓から入り込む冷気を押し返す勢いで、淡く光りを反射した小さな粒が夜の庭に舞っている。二月に入ったとは云えまだまだ冬と云え…

【new Face】

いらっしゃい。 はじめまして。 そして、おかえりなさい。 ++ new Face ++ 排気を地面に叩き付けぬようにそっとエアカーを接地させる。大学を出る時に電話はしなかったけど、きっとあなたは居てくれるって思った。街を抜けて、家が見えて───そして長身の影が…

【Sweetest drop】

───温めたカップの熱が指に心地良い。 煎れたばかりの珈琲をゆっくりとマグに注ぎながら、ピッコロはふと去年の事を思い出した。 ++ Sweetest drop ++ 丁度一年前の今日、色鮮やかな小包を一杯に詰めた紙袋を両手に下げて帰宅した悟飯は、ピッコロがそれは何…

【I'm Glad There Is You】

─────ねぇ、ピッコロさん。『神様』って信じますか? 夕食後の一時。芯までほっこりと煮込まれた温かいポトフをお腹一杯に詰め込んで、何とも倖せな気持ちでコーヒーを啜りながら、僕はふと、前から聞きたかった事を思い出していた。 ピッコロさんは未だ洗い…

【誰が為に豆を撒く】

「はい、ピッコロさん。今日は『節分』なんだそうですよ」 「………節分?」 「民俗学の教授に教えてもらったんですよ。何でも今日は『鬼は外、福は内』って呪文を唱えながら外に炒った豆を投げると………」 「鬼は外?」 「悪い鬼は家の中に入って来れなくなって…

【未来のこども】

※拍手御礼 シェルターの扉を開けば、網膜に残像を呼び起こす程の強い光が視界を灼いたどこまでも高く透き通る蒼天。思い出したかのように大地に広がりゆく緑もはや少年とは呼べない精悍な容貌の青年は、その五指を開き、黙って虚空に掲げるすり抜ける風が、…