廃園

一次二次創作を含む世迷言です。何でも許せる方のみどうぞ。あくまで個人的な発言につき、転載、引用はお断り致します。

【Better leave it unsaid, but】

 

 

 

 

 

 

 


「………………………あ−ブルマ………」
「何?」
「………………悪かったな、わざわざ……………済まなかった」
「………ねぇピッコロ?」
「………………?」
「アタシはね、迷惑だとも思ってないし、あんたがアタシを頼ってくれた事を嬉しいと思ってるわ。………今みたいに、あんたがアタシに対してちゃんと御礼が云えるくらい悟飯くんを大切に想ってる事もね」
「………………………」
「何て云ったらいいのか解らない気持ちは解るけど、やっぱり悟飯くんにだって言葉にしなきゃ解らないものだってあるんだから、あんたはもう少し自分の気持ちを伝える事を練習した方がいいわよ?」
「………悟飯にだって………解らない………?」
「おーいブルマ! もう離陸するぞい!」
「いいわよ上げて! ………………そうよ? 言葉にしなくても解ってもらえるだなんて相手に甘えてるだけなのよ………………」


「………………………甘えてる、か………」

 

++ Better leave it unsaid, but … ++

 


「───はい、じゃ次は咽見るから口開けて。悟飯くん」
「はーい」
「─────ッ!」
「………………そんな眸で見なくても変な事なんかしやしないわよ、もう!」
「………………(笑)」
「なッ! オ、俺は別にそんな………」
「悟飯くんは笑ってないでちゃんと口開けて!」
「ひゃい」

 

「──────39度6分。扁桃腺が腫れてて、頭痛があって嚔が出て洟が少し………と。完全に風邪ね、悟飯くん?」
「………すみません、ブルマさんにまでわざわざ御足労戴きまして」
「─────酷いのか?」
「別にアタシが苦労したんじゃないからいいわよ。アタシを此処まで運んだのはピッコロだし」
「え? 飛行艇で来たんじゃないんですか?! 」
「違うわよぉ! チャイムがあんまり煩いから、誰かと思えばあんたン家の奥様がすっごい貌して立ってるし! どうしたの? って聞いても悟飯が倒れたとしか云わないし」
「倒れたって………ちょっと目眩起こしただけだったんですけどね」
「…………で! 風邪とやらの具合はどうなんだ?! 」
「悟飯くんからの緊急コールは無いから、そんな事じゃないかとは思ったけど。………取り合えず応急キット持って飛行艇のエンジン掛けようとしたら、アタシ引っ掴んでお空へまっしぐらだもの」
「───うわぁ……!」
「──おいッ! ブルマ!! 」
「うっるさいわね! この位だったら悟飯くんの体力なら大人しく寝てればすぐ直るわよ! この心配性!」
「─────ッ?! 」
「………!(笑)」
「まぁ丁度夕方だったから、綺麗な夕焼けは堪能させてもらったけど」
「………それは良かったです(笑)」
「───でも珍しいじゃない? 悟飯くんが風邪なんて引くの。………どーせ濡れた髪のままでピッコロとあれこれしてたんでしょう?! 駄−目よお? 今の時期は季節の変り目で体調崩し易いんだから」
「いえ、ピッコロさん濡れた髪の感触はあまり好きじゃないみたいなんで。昨日だってちゃんと乾かしてからお相手願いましたよ?」
「ッ! 悟飯ッ!!! 」
「………………と、云うのは冗談だったんだけど」
「………………ええ、僕も軽いジョークのつもりだったんですけどね」
「──────ッ!! 」
「…………正直者な奥様で大変ねぇ、悟飯くん?」
「………素直でとっても可愛いです(笑)」
「───ブルマッ!! 手当てが終ったんだったらとっとと帰れ!」
「あんたが連れて来たんでしょうが!」
「ピッコロさん、さっきブルマさんの御宅には僕から連絡しておきましたから。………ああほら、博士が迎えに来たみたいですよ?」
「あらホント。───じゃね悟飯くん。一応その薬は3日間続けて飲んでね」
「解りました。本当にありがとうございました」
「いーわよう! 他ならぬ悟飯くんの為だし、………滅多に見られないものも見せてもらったし」
「?」
「ブルマッ!! 」
「……煩い。───い−いピッコロ。2〜3日は大学休ませて、栄養摂らせて暖かくして、大人しく寝かせときなさい。勿論修行なんて論外。大声出させても駄目よ?」
「……………解った」
「解熱剤が効けば大学休む程じゃ………」
「駄目駄目。あんたってばこんな貌の奥様残してお仕事行く気?」
「………………………」
「………………? 何だ?」
「………そうですね、さっきから全然気が付いてないみたいですしね」
「そーよぉ! 何時もだったらすっぐ怒って怒鳴りつけるのに」
「………………???」
「──解りました。まぁ丁度研究も一区切り着いた処ですし、この機会にゆっくり有給消化させてもらう事にします(笑)」
「そうなさいな。───ああ見送りはいいわよ。病人は寝てなさい」
「………すみません」
「何かあったら遠慮なく連絡頂戴ね? じゃあねー!」
「はい! ブルマさんもお気を付けて!………………ピッコロさん?」

 


「─────珍しいですね、ピッコロさんがブルマさんのお見送りだなんて。無事発進しました?」
「………まぁな。少しふらついていたが大丈夫だろう。───お前は?具合はどうだ?」
「大丈夫です。解熱剤も効いてきたみたいだし。………もう吃驚しましたよ、僕をベッドに突っ込んでさっさと飛んでっちゃうんだもの」
「─────それはッ! だって………」
「うん、解ってる。……心配してくれたんだよね? ありがとう、ピッコロさん」
『………………………。腹が減ったろう、何が喰える?』
「お腹は壊してないから何でも食べられますよ。………て、念話?」
『………咽が痛いんだろう? あまり声を出すなとブルマにも云われただろうが』
『只の風邪だから平気ですよこの位………』
『いいから! お前は黙ってろ!………何でも喰えるんだな?』
『リクエストしてもいいならシチューが食べたいです』
『シチューか、解った。………………ん? 何だ悟飯』
『ちょっとちょっと』
『………………?』
『解ってる? ピッコロさん。……念話だと、シールドしない限り相手に考えてる事全部筒抜けなんだよ?』
『………………そんな事解ってる』
『………本当に? ………じゃあね………』
「何にもしないから眸を閉じて? ピッコロさん?」
『──────!』
『………………?』
『………………』
『………………』
『………………ッ! ………………この嘘付き野郎………!』
『僕シールドしませんでしたよ?』
『言葉で眸を瞑れと云っただろうが!』
『………何されるか解ってて、それでも云う事聞いてくれたの? ………僕は何時だってピッコロさんにキスしたいんだから、そんな事云うと付け込んじゃいますよ?』
『───付け込むって………ッ! 今更ッ!』
『……………ピッコロさん? シールドしないと………………』
『………………いつまでもッ! ……“お前のしたい事”が“俺の厭な事”だと思うな! ………オッ俺だって少しは“俺のしたい事”とか………』
『……………ピッコロさん………!』
『………“俺のして欲しい事”とか………………』
『──ピッコロさん!! 』
『……………………………重いぞ、悟飯』
『嘘ですね、そんな事思ってないじゃないですか。………………じゃあね、じゃあ、夕飯食べたら添い寝して下さい。それ位いいでしょう? ピッコロさんには風邪移らないんだから』
『………………ガキじゃあるまいし』
『………ありがと、ピッコロさん。………………いいじゃないですか、僕今ピッコロさん抱き締めたくってしょうがないのピッコロさんだって解ってるでしょう?』
『………病人は大人しく寝てろ』
『うん、ピッコロさんが本気でそう思ってる事も、厭がってる訳じゃない事もちゃんと教えてもらったから───直ったらいい?』
『──────ッ!!! 』
『いったーッ!!  何で殴るんですかそれこそ今更でしょう?!  あーッ! しかもシールドしたッ!』
『煩いこのエロガキッ! 夕飯出来たら此処に持って来てやるからそれまで大人しく寝てろッ!』
『………………シチュー?』
『……ああ、シチューな』
『………………はい、じゃあ少し眠りますね。出来たら起こして下さいよ?』
『解った解った。………さぁもう寝ろ、大人しくしてるのが一番だとブルマが云っていたろうが』
『はい、お休みなさいピッコロさん』
『………お休み』
『………ねぇ、ピッコロさん?』
『………………ん?』
『………僕ね、僕、ピッコロさんが大好きですよ………?』
『………………………』
『………うん。ありがと、ピッコロさん………………』